www.lg.comサイバーマンデーで 27GL850 ポチっちゃいましたー。95 Hz 環境から 144 Hz 可変になったけどとてもよい。
— モノトーン🥱@お星様🌟になりたい (@mntone) 2019年12月12日
GTX 1070 なので、WQHD 走らせるのにかなり設定下げてますがなかなか良きです。
IPS で応答速度早いのも○。
95 から 144 Hz 可変でかなり体感できるものなんですね。 pic.twitter.com/wxf091K9vz
お値段 ¥49,980
1. 初めての 144 Hz,初めての HDR ディスプレイ
実は MacBook Pro 2016 (15 inch) を使っているので,普段から Display P3 の色域でコンテンツを見ています。
といっても,Web サイト自体,sRGB コンテンツばっかりなので,普段は P3 範囲の色を見ることはあまりありませんが。しかし違和感なく使えるということで言えば,いわゆるカラーマッピング(カラーマネージメント)はきちんとできているわけですね。
Display P3 周りに関しては継続的な話,144 Hz (前は 95 Hz)とか HDR は本機種が初めて,ということになります。
2. ゲーミング面の感想。
ゲーミング性能に関しては私が語るよりいい資料がありますのでこちらを参考に。
「あ,これ,誰がやってもゲームうまくなる奴だ」
これが第一印象です。
真面目に,144 Hz 可変に対応しているので,Apex Legends を GTX 1070 で 144 fps が出るように設定を調整して使っているのですが,Adaptive Sync によって,ティアリングが発生しないので,負荷が大きくなったとき,135 fps とかまで落ち込んだりするわけですが,それでも画面が分断されないというわけですね。
そしてなんといってもこのディスプレイ「SDR 入力=sRGB」として扱うのが,接続して使いやすいところにもつながっているでしょう。設定を確認したところ,鮮やか以外はほとんど sRGB か BT.709 (sRGB と BT.709 はガンマカーブが少し違います) のどちらかとなっているっぽいです。
ゲーミング性能に関してはこの程度でよいでしょう。私が評価する必要はないと思います。
ちなみに「Gamer 1」モードは sRGB より少し広めらしいです。正しくコンテンツを見たい場合,sRGB 設定がよいでしょう。
3. HDR は暗いとか言われるが…
この LG 27GL850-B は「350 cd/m2(nits)」が最大輝度ですから,HDR 規格の Display HDR 400 の「400 cd/m2(nits)」も満たしていないわけです… が
HDR の設定を適切にすることでかなりいいと言えます。
そもそも,このディスプレイの DCI-P3 98% を活かすには WCG+HDR (BT.2020 + PQ 出力) でないとダメっぽいです。
たぶん普通の人ならよくわからないので軽く解説します。
3.1 色域を広げる
色域,つまり色を表現できる広さというものに名前があります。
順番で言えば sRGB / BT.709 < Display P3 < BT.2020
- sRGB: PC で一般的に使われているもの
- BT.709: 地上デジタル放送といったもので使われているもの。コンシューマーゲームとかはテレビ向けに開発されているのでこちらを基準にしているかも。sRGB と色域自体は同じ。ガンマカーブが違う。
- BT.2020: 4K / 8K 放送で使うことができるもの。現実世界で表現できるすべての色を含む。
- Display P3: BT.2020 はさすがに広すぎるので,まずコンシューマー向けにはここからでしょ! っていうときに,デジタルシネマの規格でちょうどいいのがあったからひっぱってきたイメージ(身近な機器だと iPhone 7 からです)
画像添付するのはめんどくさいので,検索すればどんな三角形になるか理解できるかと。
3.2 明るさを広げる
さきほど上げた色域はそもそも SDR 環境で使うことを想定していまして,SDR ってそもそもどれぐらいの明るさで定義されているの? となりますが,
- sRGB: 80 cd/m2
- BT.709: 100 cd/m2
といったところ。つまり,LG 27GL850-B は SDR には十分広すぎる明るさを表現できるわけです。
しかし 80 cd/m2 で使ってる人どれぐらいいますか? とはなりますよね。厳密に設定してみたらかなり暗いと思います。これはテクノロジーの進歩もあって明るくできるのも理由なんですよね。
そこで登場するのが HDR 規格ですね。
HDR10 は PQ カーブっていう静的なメタデータを付与して表示させます。ただこれが曲者で 1000 cd/m2 環境を想定しているんですね。もちろん,LG 27GL850-B は 350cd/m2がピークですから,それ以上は表示できないわけです。
3.3 Windows 10 の設定を調整して,LG 27GL850-B を HDR モードで動かしたとき,SDR の白を白にする。
まず HDR モードを有効にする前に,10-bit 出力にしておきましょう。
これは何故か,というと,BT.2020 という色域で出力されるのですが,これが広いわけです。
つまり,8-bit のまま使用すると,sRGB で表現できる階調が少なくなってしまいます。これを回避するために 10-bit で出力させます。
次に HDR モードを有効にします。
HDR モードになると,デフォルトでは画面輝度が 100 になっています。ですが,このままでは白もそこまでまぶしいと感じないでしょう。そこで調整をします。
画面にあるように「Windows HD Color 設定」をクリックします。
SDRコンテンツの表示を最大まで上げます(お好みで 70 程度でも良いかもしれません)。
なぜ白が白に見えないのか,について解説すると,おそらくデフォルトの設定だと Windows 10 は 1000 cd/m2 環境を想定して,SDR コンテンツ(つまり普通のアプリケーションや DirectX の HDR に対応してない swap chain)を表示しています。これを 400 cd/m2(ぐらい想定なのかな?)程度を基準に書き出すようにすればいいわけです。
そうすることで,HDR 設定のままでも SDR 系の表示を遜色なく使えると思います。
4. nano IPS による HDR の実力
「Monster Hunter: World」をテストしたのですが,階調がしっかりでていましたね。NVIDIA の fps オーバーレイがめっちゃまぶしい緑になってるのは笑いましたがw あれは見たことない緑です。
それに,HDR 動画を見るとすごくわかります。輝度 100 設定で動画見ても,黒のしまりがすごいとか,本当に表現力豊かだと思います。
以下の動画は「量子ドット」と言われるその原料に使われているものを撮影したものですが,これをみるととても黒の表現力や色の表現力がしっかりわかると思います。
まとめ
- ⭕144 Hz sRGB モードは最強のゲーミング環境
- ⭕nano IPS による DCI-P3 98% モードの実力はさすが
- ❌SDR モードで DCI-P3 や Display P3 の出力は不可能と考えたほうがいい(Mac との接続には不向き)
といったところでしょうか。HDR モードを有効にしないと,nano IPS であることが活かせないことは残念だと思いますが,Windows 10 の HDR モードが思ったより出来がよく,色も問題ない範囲(一般利用には十分だと思います)ということがわかりました。
個人的に,Windows 10 どころかテレビの HDR 機能も体感したことがなく,HDR を初体験したわけですが,正直「かなりいい」って思いました。今後発売するゲームもおそらく DCI-P3 程度の範囲での表示はサポートされる傾向にあるでしょうし,HDR モードは今後活躍の場が増えていくのではないのでしょうか?
PS 専門的な話をざっくり解説しました。最後に言いますが,HDR ゲームをまともにキャプチャーできる環境はないです… これは誰かが作るしかないですね。私が作ればいいのですか?🤔
2019/12/14 追記: 録画だけなら DaVinci Resolve などの編集ソフトを使って,BT.2020 + PQ 設定で読み込ませれば問題なくゲーム画面だけの映像の編集できるとは思います。ただ,配信ソフトは BT.2020 + PQ というメタデータで配信できるものはないですし,レイヤーの合成において色域を変換する機能がないですから,実質配信では使えません。それに,大抵の録画ソフトは AVC 8-bit ですが,できれば AVC 10-bit で録画したいですね。