モノトーンの伝説日記

Apex Legends, Splatoon, Programming, and so on...

<mini> マルチチャンネルオーディオのミックスダウンについて考えてみる

 前回の「 5.1 ch から 2 ch へのダウンミックス」の続編みたいな感じ。

 前回は AAC の規格を参照してたんですけど、これだけだと、5.1 ch (FL+FR+FC+LFE+BL+BR) に限られてしまう。しいて言えば、5 ch (LFE を除く) でもこの式は流用できる。

 個人的に思ったのは、これを拡張すれば、サラウンドバックが追加されたケースでも考えることができるのでは? と思ったりする。

 皆さんは知ってると思うけど、高校物理でよくやる波の「重ね合わせの原理」ってのがあると思うのだけど、いわゆる波ってのは重ね合わせることができるわけだ。つまり A+B しようが、A-B しようが、音ってのは波だから全然問題ないってワケ。

 そこでだ、簡単に考える。そうだね、3 ch の L/R/C 信号を 2 ch の L/R 信号にしたいとしよう。すると、普通に考えれば、


L' = L + C \\
R' = R + C \\

とかでも問題ないと思う。ただこの式の問題は、どういうことかっていうと、空間上(いわゆるリアル空間)で C 成分が重ね合わせられ、C 信号が強調されることに問題がある。故に、


L'' = L + \frac{C}{\sqrt{2}} \\
R'' = R + \frac{C}{\sqrt{2}} \\

とすればエネルギー的に L/R/C が均等になることが考えられる。まあ普通の考えではこれでいいと思うけど、応用的に考えると L/R の個々のチャネル音量と L/R/C の個々のチャネル音量は同じだけど、L´´/R´´ っていう信号は C/√2 成分が加わってて全体としてのボリュームがでかくなってるわけ。だから、


L'' = \frac{1}{1 + 1/\sqrt{2}} \left(L + \frac{C}{\sqrt{2}} \right) \\
R'' = \frac{1}{1 + 1/\sqrt{2}} \left(R + \frac{C}{\sqrt{2}} \right) \\

とするわけだ。

 というように、基本的にエネルギーに基づく演算をすれば大丈夫かなーって思う。

 ここからが本題。4 ch 以上で難しいのは「サラウンド」「サラウンドバック」って表現が入ることだ。サラウンドは横、サラウンドバックは後ろという音源になるわけだけど、これをどの程度フロントから出すか、これは製作者の意図が結構絡んでくるに違いない。

 とりあえず前回提示したものを今回も提示する。

I A
0 \frac{1}{\sqrt{2}}
1 \frac{1}{2}
2 \frac{1}{2\sqrt{2}}
3 0


\begin{eqnarray}
L' = \frac{1}{1 + 1/\sqrt{2} + A} \left(L + \frac{C}{\sqrt{2}} + A \cdot L_s \right) \\
R' = \frac{1}{1 + 1/\sqrt{2} + A} \left(R + \frac{C}{\sqrt{2}} + A \cdot R_s \right)
\end{eqnarray}

 例えばだけど、後ろからの効果音を前からごく微量に出したいとき、I は 2 が適切だろう。ゲームとかなんかは、1, 2 ぐらいが適当だと思う。

 けど、音楽とかはどうだろう? 個人的にはミックスするよりも特定の位置から特定の音源が聞こえることを優先して、スルーするのが自然な気がする。つまり I=3 である。センタースピーカーはフロントからの音声なので各スピーカーに分配していいと思う。

 というわけで、このあたりの話、私は専門家でないしあれなのだけど、とりあえず上記の式使って、3ch ver. および 4ch ver. は生成できると思うから、いいと思うのだけど…

 そもそも FL+FR+FC と FL+FR+LFE、FL+FR+LFE+BC と FL+FR+BL+BR*1 をどうやって見分ければいいんだ… って感じがある。

 自分の持ってる Intensity Shuttle for USB 3.0 と Wii U (HDMI) でつないでやったんだけど、1ch から順に FL+FR+LFE+FC+BL+BR という順番になってたんだけど、一般的な LPCM (WAV コンテナー) は FL+FR+FC+LFE+BL+BR らしいんだけど…

 ハイ、ということで、5.1, 6.1, 7.1 はいいのだけど、その間のフォーマットはかなり厳しいって感じがあるワケ。どうしようかなぁ…

 とりあえず私の出せる環境が 5.1 ch か 2 ch しかないので、7.1 ch は検証できないので、厳しいかな。PC 使えばできる???

 未来の自分へのメモ書きって感じで今回の記事は書きました。マルチチャンネルオーディオは個人的にはスピーカーとチャネルのインデックスを持つべき、って私は思ったりします。だって、22.2 ch では上下方向の広がり出てたけど、あれ、サラウンドバックの位置に類するスピーカー、1 つしかないんだぜ…

 結局基本は 5.1 ch なので、私もサラウンドシステム自体 5.1 ch からアップグレードする予定はないのだけど、むしろこれらのチャネルをきちんと扱えるようになってからほかの次元に行った方がいいのかな、という気はあります。

 以上です。

*1:F…フロント、B…バック、L…レフト、R…ライト、C…センター、LFE…低音 (Low Frequency Enhancement)